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| ▲ローラン・ギャロスのスタジアム。試合がない時はガイド・ツアーで見学できる。 |
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対面する相手とボールなどを投げ合ったり、打ち合ったりする遊びは紀元前の昔から存在していました。ただ現在のテニスの原型として考えられるのは8世紀のフランスにおいて発生したラ・ソーユという遊びです。16世紀頃にはラケットを持って打ち合う貴族の遊びとして定着し、ジュー・ド・ポームと呼ばれました。 |
| パリのチュイルリー公園に「ジュー・ド・ポーム」という美術館がありますが、昔は競技場として使われていた建物だったためこのように名付けられました。その後1878年に英国でジュー・ド・ポームなどの遊びに改良を加えたローン・テニスが考案され、これが英国の繁栄に伴って世界の各地に伝播します。近代になって広くテニスの流布のきっかけとなった国はイギリスとアメリカですが、テニスの誕生国といえばフランスであることは間違いありません。「テニス」という競技名も、もともとサーブを打つ方が相手に「お受けなさい」という意味のフランス語、「tenez(トネ)」のひとことをかけたことに由来しています。 |
| 現在テニスの大きな選手権は世界4大大会として注目を集めています。1877年に最古参のウィンブルドンが始まり、1881年に全米オープン、1891年に全仏オープン、そして1905年には全豪オープンが誕生します。全仏オープンの現在の開催地であるローラン・ギャロスは、第一次世界大戦に活躍したパイロットで、世界初の地中海横断飛行を成し遂げたフランスの英雄にちなんでつけられました。 |
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| ▲世界4大トーナメントの会場までの距離が記された博物館入り口近くの掲示板。 |
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| このローラン・ギャロス(Roland Garros)という人はテニスではなくラグビーを嗜んだそうですが、1928年この地にテニス施設を設立した当時のパリのスポーツ協会の会長が彼の古いラグビー仲間でもあったため、この名がついたそうです。4大大会中、唯一のクレー(赤土)・コートで、勝敗に波乱があることでも知られています。今年は5月28日から6月11日までの開催です。 |
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| ▲3000時間もの充実したソフトを備えたマルチメディア施設。 |
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ローラン・ギャロスのメイン・エントランスを入ったらすぐに博物館の入り口が見えてきます。小さなお土産小屋のような外観。「これが博物館?」と思うでしょうが、本当のスペースはこの地下に隠れているのです。現在チケット売り場となっている地上部分は、昔ローラン・ギャロスの庭師小屋でした。1960年代には会長の執務室としても使われていました。 |
チケットを買ったら、さあ階段を降りてテニスの殿堂へと向かいましょう。
階段にはローラン・ギャロスで活躍した世界の名選手、またテニスに貢献した人物の写真がずらりと並んでいます。階段を降りるとその先には総面積2,200m2 の空間が広がっています。この博物館は2003年の5月に最先端の技術を駆使して設立されました。 |
| 自慢はマルチメディア・システムで、映像を観たり、クイズを解きながらテニスの歴史に触れたりすることができます。内蔵されているプログラムは、1897年からの映像、試合結果、ヒーロー達のインタビュー、テニス関連資料などなんと3,000時間以上!壁に備えつけてあるスクリーンの前でたっぷりと楽しんでください。 |
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| ▲フランス、テニス界に大きな功績を残した「キャトル・ムスクテール(四銃士)」に関する展示。 |
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| また伝説のプレーヤーの写真や、選手達が使ったラケット、選手権のカップ、またジュー・ド・ポームの説明が載った16世紀の本など、歴史的なオブジェも揃います。 |
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| ▲名プレーヤーたちの記念のラケットが並ぶ博物館内部。 |
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近代テニスの黎明期に14年間も世界の頂点に立ち、長かったスカートを膝丈まで短くして、女性にとって優雅なお遊びだったテニスを競技として認識づけたスザンヌ・ランラン(Suzanne
Lenglen)、また国別チームで争うデビスカップで1927年フランスに初めての勝利をもたらした4人の男性プレーヤー「キャトル・ムスクテール(四銃士)」のコーナーなどがあります。 |
当時のデビスカップは優勝者の国で次回の大会が行われるという規定があったため、キャトル・ムスクテールの活躍はローラン・ギャロスのコートが作られるきっかけともなりました。現在ローラン・ギャロスのメイン・エントランスは「ムスクテール門」と呼ばれています。メンバーの中にはアメリカ滞在中にジャーナリストに「ワニ」というあだ名をつけられたルネ・ラコステ(René
Lacoste)がおり、美しいワニの刺繍が入った当時の彼の白いブレザーも展示されています。引退後のラコステが現在でも人気があるスポーツ・ウェアの会社を興したことは有名な話です。
この常設展の他にはテニスに関するフランス語の書籍、マンガ、雑誌、また「レキップ」等のスポーツ新聞など約3,000冊が集められた図書館があります。 |
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▲ジャック=アンリ・ラルティーグの特別展「束の間の芸術」。
Photographies JH Lartigue ©Ministère
de la culture France / AAJHL |
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この博物館では常時、大小のふたつの特別展示が行われています。大特別展示室は約800m2の広さを誇り、現在はジャック=アンリ・ラルティーグ(Jacques-Henri
Lartigue)の写真展「束の間の芸術 テニスとムーヴメント 1905-1929」が開催されています。ラルティーグは1894年にフランスで8番目に数えられる資産家の家に生まれます。早くからカメラに親しみ、家族や友人などを趣味で撮影していました。 |
| 1960年代、ニューヨーク近代美術館(MOMA)のシャーカフスキー(Szarkowski)に写真の面白さを見いだされ、晩年に一躍有名となった写真家です。ラルティーグは幸せの瞬間を忘れたくなくて写真を始めたと言われています。また跳躍する人や動物、疾走する車など、動きがあるものを撮るのが好きでした。エネルギーが感じられる写真を好んで撮っています。当時、テニスは上流階級の遊びであったため、ラルティーグ自身もプレーし、よく試合なども見に行ったようです。 |
| 会場は3つに大きく分けられています。ひとつは公式の試合などを撮った「プロの世界」。ここには往年の名プレーヤーの顔が並んでいます。ラルティーグは前出のスザンヌ・ランランの写真も多く残しており、それが今回の展示を企画するきっかけとなったということです。優れた選手の動きをモノクロームで捉えた写真はそれだけで美しいものですが、近代テニスの黎明期の素晴らしい記録としても価値があります。 |
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▲ジャック=アンリ・ラルティーグの特別展「束の間の芸術」。写真左が“テニスの女王”スザンヌ・ランラン。
Photographies JH Lartigue ©Ministère
de la culture France / AAJHL |
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もうひとつは「アマチュアの世界」。優雅にテニスを楽しむ友人たちの姿や、また空中プレーを演じる彼自身の姿もあります。最後は「ムーヴメント」。スポーツ、日常を問わず動きの瞬間を捉えた写真の数々が並んでいます。友人の映画監督サッシャ・ギトリ(Sacha
Guitry)が駅のホームでふざけて跳躍している姿を撮影したもの、またサルコフスキーの目を惹くこととなった自動車レースの左右に大きく歪んだ写真などが展示されています。
写真総数95点。本当のネガのサイズは絵はがきほどの小さなものですが、この展覧会では大きく引き延ばし、今までではよくわからなかったディテールも見せています。いくつかの有名な写真はステレオスコープ(立体写真機)で撮影されたもので、少し撮影の角度が違う2枚のネガのうちの1枚を選んで展示されていますが、会場内にはラルティーグが楽しんだ様に立体写真が見られるコーナーも設けられています。またこの展示会の準備のためにリサーチを重ねたスタッフが、ラルティーグの未発表の家族演劇を収めたフィルムを発見するというハプニングもありました。 |
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| ▲特別展を分かりやすく説明するジュニア・コーナー。 |
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これは1914年に撮影された無声映画で、ラルティーグの父、兄、おば、友人などが出演する探偵劇です。彼がよく聴いていたというサティ(Erik
Satie)やドビュッシー(Claude Debussy)、また無声映画にぴったりのコミカルなプーランク(Francis
Poulenc)の音楽をバックに会場で上映されています。この展示は今年の末まで続きます。
博物館入り口近くにあるジュニア・コーナーは、この特別展を分かりやすく説明するスペースとなっています。ラルティーグの年譜に合わせて世の中で起きたことを紹介し、カメラの構造なども説明しています。また、現在活躍するウィンター・スポーツ、テニス、F1のスポーツ・カメラマンのインタビューも上映しています。 |
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▲2006年の全仏オープンのポスターを手がけたギュンター・フォルグの作品展示室。
© Günther Förg-Galerie Lelong
/ FFT 2006 |
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1980年から全仏オープンのポスターはコンテンポラリーのアーティストが担当しています。この大会は知名度があるため、ポスターの中に入れる情報は大会名と年度、そしてアーティストのサインだけです。今年のポスターはドイツ出身でスイス在住のアーティスト、ギュンター・フォルグ(Günther
Förg)が担当。このポスターの原画と彼の幾つかの作品が6月30日まで小ホールで展示されています。 |
| また博物館の廊下部分は1980年から昨年までの全仏オープンのポスターが並ぶギャラリーとなっています。最初の頃はモチーフも具体的でポスター然としていたのが、年代を経るにつれてイメージが抽象化されてきており、四半世紀のアートの変遷を見るようで興味深い展示となっています。 |
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| ▲1980年からの全仏オープンのポスターが並ぶ廊下。 |
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| 田中久美子(文)/Andreas
Licht(写真) |
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▲ローラン・ギャロスの庭師小屋を利用した博物館の入り口。 |
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所在地 |
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| 2,
avenue Gordon-Bennett-75016 Paris |
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Tel |
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| 01.47.43.48.48 |
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休館日 |
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月曜日と全仏オープン期間
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2006年の全仏オープンは5月28日〜6月11日。但し、博物館は5月26日〜6月11日まで休館。 |
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開館情報 |
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| 10:00-18:00 |
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入館料 |
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一般:7,5ユーロ
18歳以下:4ユーロ |
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URL |
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アクセス |
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バス:ポルト・デ・ムスクテール(Porte
des Mousquetaires)下車
地下鉄:ポルト・ド・オートゥイユ(Porte d'Auteuil)駅下車 |
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ガイド・ツアー(要予約) |
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英語:11:00〜
フランス語:14:30〜,16:00〜 |
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