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03.日本とアンリ・チェルヌスキ〜旅、コレクション、美術館〜 コンデ美術館−シャンティイ城 フォンテーヌブロー城美術館
コンデ美術館−シャンティイ城
世界遺産 フォンテーヌブロー城 ムーラン氏に聞く フォンテーヌブロー城と修復 ムーラン氏に聞く 本当の「修復」の在り方
ムーラン氏が考える「修復」の意味
▲最近修復されたアンリ4世の兵舎。鮮やかなペンキの色は賛否両論だそう。
© Lina Nakazawa
 ある建物や品物を修復する、ということ。その意味も実は非常に複雑なものです。一般には、「修復」というと「昔あったままの形を再現する」と思われていますが、それは少し違います。結論から言いますと、ある物を修復する時、そこには必ず何らかの現在の要素が含まれるのです。

 例えば今、フォンテーヌブロー城の、ある居室を「修復」しようとします。その時私は過去のある時代に遡り、その状態を復元しようとします。しかしその部屋にはもはや人は住んでいない。城には、今は一般の来館者を受け入れる、という機能がありますから、その機能を無視することはできません。するとどうしても、セキュリティーの問題や空調設備、見学順路などを考慮に入れる必要があります。そこでそれらの制約の下、工事を行うわけです。そこで出来上がるのは過去のどの瞬間にも存在したことのない、21世紀の新しい状態の居室なのです。
 「修復」という概念をコード化した19世紀の建築家であり修復家のヴィオレ・ル・デュック(Viollet-le-Duc)は、過去のある時代を優先的に(彼の場合は中世でした)考えながらも、「過去に決して存在したことのないある完全な状態」を作り出すことが、「修復」の定義である、としました。

▲実はフォンテーヌブロー城には、第一次世界大戦の頃から、アメリカの音楽学校がある。この日はちょうど城の礼拝堂で、コンサートのリハーサルが行われていた。
© Lina Nakazawa
▲「法王の居室」内の寝室。
© Lina Nakazawa
 その反対の考えを持っていたのが、彼の友人であったラスキン(John Ruskin)です。ラスキンは「古さ」に価値を見出しました。ですから、同じ13世紀の「修復」をするにしても、ラスキンは、傷んでいても13世紀の石を使おうとしましたが、ヴィオレ・ル・デュックは19世紀の新しい、しかし同じ素材の石を使ったのです。
 これは本当に極めて難しい問題です。例えば20年毎に建て直される日本の伊勢神宮や、1902年に新しいものと入れ替えられた、ヴェネツィアのサン・マルコの鐘楼には価値がないのか?それは違います、そこには歴史的価値、というものがあります。単純に古いから価値がある、新しいから価値がない、というわけにはいきません。

 また、ルーヴルでは美術館開館以来、宮殿であった要素をどんどん排除していき、美術館としての機能を追い求めてきました。でもどうやら最近少しその行為を後悔し始めているようです。フォンテーヌブローはまだ若い美術館です。800年の歴史を持つ由緒ある城ですが、そこにはトイレやカフェテリアの設備も整った近代的建築物でもあります。この2つの相反する要素をうまくバランスを取りながら、私たちは仕事を進めていくのです。でもそれはとっても楽しいんですよ!

▲今は裏口のように目立たないが、本来の城の正面入口。
© Lina Nakazawa

取材・文・写真:
中澤理奈(Lina Nakazawa)
著者プロフィール:
東京外国語大学フランス語学科卒業後、パリ第四(ソルボンヌ)大学で美術史を専攻。美術史学マスター課程修了。専門は18世紀、19世紀の工芸品およびコレクショニズム。

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フォンテーヌブロー城美術館
所在地
Château de Fontainebleau 77300 Fontainebleau
Tel
+33(0)1 60 71 50 70
URL
http://www.musee-chateau-fontainebleau.fr/
開館時間
城:
<4月-9月>9:30-18:00
<10月-3月>9:30-17:00
庭園:
<5月-9月>9:00-19:00
<11月-2月>9:00-17:00
<3月-4月、10月>9:00-18:00
休館日
火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
入館料
一般:12.5ユーロ(2名分ペアチケットは19ユーロ)
割引料金:11ユーロ(2名分ペアチケットは16ユーロ)

アクセス
パリ・リヨン(gare de Lyon)駅からフォンテーヌブロー・アヴォン(Fontainebleau-Avon)駅下車。駅からバスで約15分。


MMFで出会える フォンテーヌブロー城美術館
MMFインフォメーション・センターでは、フォンテーヌブロー城の見学ガイド(フランス語、日本語)をご覧いただけます。


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