例えば今、フォンテーヌブロー城の、ある居室を「修復」しようとします。その時私は過去のある時代に遡り、その状態を復元しようとします。しかしその部屋にはもはや人は住んでいない。城には、今は一般の来館者を受け入れる、という機能がありますから、その機能を無視することはできません。するとどうしても、セキュリティーの問題や空調設備、見学順路などを考慮に入れる必要があります。そこでそれらの制約の下、工事を行うわけです。そこで出来上がるのは過去のどの瞬間にも存在したことのない、21世紀の新しい状態の居室なのです。
「修復」という概念をコード化した19世紀の建築家であり修復家のヴィオレ・ル・デュック(Viollet-le-Duc)は、過去のある時代を優先的に(彼の場合は中世でした)考えながらも、「過去に決して存在したことのないある完全な状態」を作り出すことが、「修復」の定義である、としました。 |
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▲実はフォンテーヌブロー城には、第一次世界大戦の頃から、アメリカの音楽学校がある。この日はちょうど城の礼拝堂で、コンサートのリハーサルが行われていた。
© Lina Nakazawa |
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